効果的なダイエットのコツ

インスリンがダイエットの重要キーワード

 ダイエットするには、ある程度「摂取カロリーを減らすこと」と、「適度な運動」が必要です。

 しかし、食事面で「ただ食べる量を減らせばいいんでしょ」というだけだと、

・お腹がすいて長続きしない。
・イライラする。
・ストレスが溜まる。

など、いずれ挫折してしまう人が多いです。

 ところが、やり方によっては、あまりストレスなく、気づいたら痩せていたということも。

 ダイエットは、やる気と根性だけではできません。

 キーワードは、「インスリン」です。

インスリンとは

 インスリンは、すい臓から分泌されるホルモンです。
 糖質が体内に吸収され、血液の中に入っていくとそれにともなって出てきます。インスリンが出てくると、糖質はエネルギーとして消費されます。

食事をする。

食べ物の中の糖分がブドウ糖として血液中に取り込まれる。←このとき血糖値が上がる。

ブドウ糖が増えることですい臓からインスリンが分泌される。

ブドウ糖は肝臓や筋肉、脂肪組織などの細胞に取り込まれ、血糖値が下がる。

細胞に糖が行き渡ってもまだ糖が残っている場合、インシュリンが残った糖を「脂肪細胞」に送り込む。

脂肪が溜まり肥満となる。

 インスリンは糖質をとった時だけ出てくるわけではありませんが、特に糖質を摂取した時にたくさん分泌されます。

「脂肪蓄積モード」ONとは

 糖質をとり過ぎて血糖値が急激に上昇すると、「血糖値をすぐに下げないと糖尿病になってしまう!」と、多量のインスリンが分泌されます。結果、血糖値が急激に下がります。
 しかし多すぎた糖分はインスリンの働きによって脂肪として蓄えられます。

 つまり、血糖値の急上昇は「糖質のとりすぎ状態」で、「脂肪蓄積モード」がONになっているといえます。

 血糖値の急上昇、急降下という状態が毎食続けば、確実に太ってしまいます。

 逆にいえば、同じカロリーを摂取しても、血糖値の急上昇を抑えられれば太りにくくなります。

血糖値の急上昇を防ぐ方法とは

 血糖値の急上昇を防ぐ方法として、最も効果的なのは「糖質」を減らすことです。

 ただ、糖質と聞けば甘いものをイメージされる方もいらっしゃると思いますが、糖質とは「甘いもの」ではなく、「炭水化物」をイメージしてください。
 白いごはんやパスタ、うどん、やきそば、お餅、お好み焼き、てんぷらの衣、パンケーキ、おせんべいなどです。

 炭水化物は主食が多いので、これを減らすのはつらく感じるかたもいらっしゃると思いますが、毎食ちょっと多めの一口ずつ残すなど、全部やめるのではなく、意識的に少し減らすようにしましょう。

血糖値の上昇をゆるやかにするコツ

◆ゆっくり食べる。
 血糖値の上昇をゆるやかにするには、まず「ゆっくり食べること」。
 物を食べると必ずある程度上昇します。しかし、一気に食べるのと、ゆっくり食べるのでは血糖値の上昇カーブが全く違ってきます。
 ゆるやかに上昇すれば、インスリンが大量に分泌されることはありません。
◆血糖値を急上昇させにくい食べ物に置き変える。
 精米を血糖値を急上昇させにくい発芽玄米にしたり、白い食パンのかわりにライ麦などを使ったパンにしたり、できる範囲で置き換えることもおすすめです。
 全部置き換えることはできなくても、「朝だけ」「夜だけ」などでもOKです。
◆糖質の吸収を下げてくれる働きがある食べ物をまず食べよう!
 「食事の時はまず先に野菜から食べよう」という言葉を聞いたことはありませんか?  
 食物繊維には糖質の吸収を下げてくれる働きがあることから、血糖値の急上昇を防ぐことができます。野菜やナッツ類、きのこなどに食物繊維が多いです。

 また”ねばねば”ものもおすすめ。
 納豆やおくら、里芋、山芋、モロヘイヤ、レンコン、なめこなど。海藻類の中に含まれるムチンは、糖質と結びつくとその吸収を抑えてくれる働きがあります。それにより、血糖値の急上昇を防いでくれます。
 ムチンは熱に弱いので、なるべく生のままか、短時間の加熱で調理したものが効果が高まります。
◆低GI値食品を活用する。
 摂取する食べ物によって血糖値の上昇するスピードが違います。そのスピードを計ったものが「GI値」です。
 低GI値食品とは、血糖値が急上昇しにくい食品のこと。低GI値食品を食事に取り入れることで、血糖値の急上昇を防ぎます。
 この食事法は「低インシュリンダイエット」と呼ばれ、糖尿病患者さんの食事の指導に取り入れられています。
 ただし、低GI値食品だけで食事をすることには問題があります。
 低GI値食品に余りこだわると、炭水化物である主食を極端に減らすこととなり、ブドウ糖の代わりに脂肪が主なエネルギー源として利用されます。脂肪が主に分解されると確かに減量にはなりますが、これは飢餓状態における「痩せ」。長期間行うのは危険です。

まとめ

 血糖値の急上昇を防げば、インスリンの大量分泌を抑えることができます。「脂肪蓄積モードON」を防ぐコツです。
 インスリンと糖質の関係を知っておくと、健康的なダイエットにつなげることができます。

 ただし、栄養はバランスが重要です。低GI値食品だけというのも問題です。
 インスリンの働きを知り、それを活かしつつ、しかし栄養が偏らないようにしましょう。